あの夢で出会った、あなたは誰?「アリス殺し」

栗栖川亜理(くりすがわあり)はペットのハムスターと暮らす大学院生です。彼女は、いつも自分が不思議の国の住人になる夢を見ていました。

そんなある日、ハンプティ・ダンプティが殺害される夢を見て目覚めると、大学でもある人物が同じような死を遂げていました。

夢の世界の死と現実世界の死は繋がっていることに気付く亜理。次々と起こっていく殺人事件の犯人として、なんとアリスが疑われてしまいます。

容疑を晴らすために、亜理は夢の中では蜥蜴のビルになる井森健とともに真相の究明に乗り出します。

一言でいうと奇妙な登場人物たちが奇妙な殺人事件の謎を解き明かすために奇妙な奮闘をするお話です。

不思議の国の住人達はみんな頭が悪いかふざけているかのどちらかなので意味のなさそうな会話やまどろっこしい会話。

「なんでそんな余計なことするの!?」と思ってしまう行動が多く、呆れてしまう方も多いかもしれませんが、私はむしろそれがクセになり、どんどん読み進めることができました。

その結果、予想を何度も裏切られ、衝撃と笑いとほんのりとした切なさを孕んだ結末を目撃でき、非常に楽しめました。

実はくだらないやりとりの中にも伏線が仕込まれていたります。なので真相を知ってから読み直すとどうしてこんな重要なことを忘れていたり思いつかなかったりしたんだろう!?といい意味で悔しい気持ちになれます。

各所に「不思議の国のアリス」が元ネタのシーンもちりばめられているので、「不思議の国のアリス」がお好きな方はより楽しめると思います。

もっとこの作者さまの作品を読んで騙されたいと思いました。

というか、この文章を読んだあなたは多分、すでに騙されています。